Whole Person Care の概念からマインドフルネスの理を知り,ホスピス・緩和ケアが示してきた癒し(healing)の本質を学ぶシリーズ第3弾
「癒し」とは、身体的、精神的、スピリチュアルな苦痛や苦悩から回復する全体的な過程とされる。
これまで、ホスピスケア、緩和ケア、ターミナルケアといった医療の一分野で語られることの多かった概念であるが、近年、生き方の多様性に伴い、「癒し」が必要とされる場面は拡がってきている。
そのようななか、治療(curing)と癒し(healing)の統合を体系化したWhole Person Care(WPS)は、明確に全人的医療の実践方法を掲げている。
本書では、癒し、マインドフルネス、臨床的調和、セルフ・コンパッション、レジリエンスなど、全人的医療を実践するにあたっての理論的背景を全6章にまとめた。
「患者と医療者の人格間での対話が重要である」「自分の弱さと真摯に向き合うことなく、他人の弱さに本当の意味で共感することは難しい」「今この瞬間にしっかりと存在する」など、要所要所の一文は深い。
ホスピス・緩和ケアに長く携わってきた著者の現時点における集大成かつ渾身の一冊である。
Whole Person Care 理論編 医療の源流と実践
【著】恒藤 暁
定価:2,200円(本体2,000円+税)
A5 / 160頁 / 2024年
ISBN978-4-89590-835-1