書籍紹介

フレイル高齢者の関節可動域 ケアの指標としての活用

“日々の生活を時間差で示す重要なシグナル”である高齢者の関節可動域を4,000人以上のデータで解析し、ケアやリハビリテーションの効果を検証!

本書では、軽度~重度の虚弱状態にある高齢者をフレイルの欠損累積型モデルとそのスクリーニング尺度であるClinical Frailty Scaleを参考に《フレイル高齢者》と定義し、その「関節可動域」と「拘縮」を多面的に取り上げている。

「第1章 フレイル高齢者の関節可動域」では、関節可動域に対する考え方を述べ、フレイルや関節可動域制限の定義・病態を整理したうえでフレイル高齢者の関節可動域データを提示している。
「第2章 ケアと関節可動域」では、看護とリハビリテーション、そしてレクリエーションの視点から、具体的なケアのあり方と介助方法および余暇活動の必要性について概説している。
「第3章 リハビリテーションの実際と治療戦略」では、各病期におけるリハビリテーションの役割とそのエビデンスを紹介し、現状の課題と今後の展望を述べており、リハビリテーション専門職以外の職種にも参考になる。
「第4章 不活動に起因するその他の機能障害と対応策」では、関節可動域制限以外の機能障害について整理するとともに、対策の基本となる身体活動の意義や重要性を提示し、フレイル高齢者特有の5つの症状を取り上げ、関節可動域との関連性についても検討している。これまで症状別に対応されてきた機能障害であるが、今後は並行して発生・進行するものと認識を改め、その効果検証が不可欠であることを共有したい。
「第5章 活動的な高齢者であるための“大人の嗜み”」では、“心を動かし、身体を動かし、生活を活発化する”ことが、高齢者の身体活動を維持・向上させる方法であると述べている。
そして「第6章 終末期ケアの指標としての関節可動域」では、長年にわたりフレイル高齢者の関節可動域データを分析していくなかで、終末期の臨床を担う者としての思い記し、関節可動域を含む機能障害の研究・教育・臨床に対して提言した。

本書では、筆者らの施設で集積した4,000人を超えるフレイル高齢者の関節可動域データを示し、それが何を意味し今後にどう生かすべきなのかを問うている。フレイル高齢者の関節可動域制限は、「日々の生活を示したシグナル」でもあるため、身体機能を専門としない職種や立場であっても理解・認識されることが望まれる。本書はそのことを考えるきっかけとなる1冊である。

フレイル高齢者の関節可動域 ケアの指標としての活用

【編著】
福田卓民(青梅慶友病院)
沖田 実(長崎大学生命医科学域)

定価:3,960円(本体3,600円+税)
A5 / 304頁 /2023年
ISBN978-4-89590-792-7

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